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CPAP・睡眠時無呼吸症候群

簡易検査の結果が届いたら?数値の見方と次にすべきことの判断フロー

自宅でのSAS簡易検査の結果が届いたが、AHIやODIなどの数値をどう読めばいいか分からない方へ。数値の意味と、結果に応じて次にすべきことの判断フローを整理します。

自宅でできる簡易検査を受けたあと、結果票に並ぶ「AHI」「ODI」「最低SpO2」といった数値を見て、何を意味するのか、そしてこの後どうすればよいのか分からず戸惑う方は多くいます。ネットで検索しても、専門用語が多く、自分の数値がどの段階にあたるのか判断しづらいと感じることもあるでしょう。この記事では、簡易検査の結果に書かれている主要な数値の意味と、その数値に応じて次に何をすべきかを、判断フローとして整理します。なお、本記事は結果の読み方の目安を示すものであり、最終的な診断や治療方針は必ず医師にご確認ください。

まず確認したいこと:その検査はどんな検査か

自宅でできるSASの検査には、指先や鼻元にセンサーを付けて呼吸・酸素飽和度などを記録する簡易検査(携帯用睡眠検査)と、脳波まで含めて記録する(在宅で行うタイプを含む)があります。多くの方が最初に受けるのは前者の簡易検査です。検査キットの使い方や当日の流れについては、自宅の睡眠検査キットが届いたら?使い方・当日の流れ・返却までの注意点で解説していますので、これから検査を受ける方はあわせてご覧ください。この記事では、検査を終えて結果票を受け取った後の「数値の読み方」を中心に扱います。

結果票を見る前に大切なのは、その検査が正しく測定できていたかどうかです。鼻のセンサーが外れていた、指先の酸素センサーが外れていた、記録時間が極端に短かったなどの「測定不良」がある場合は、数値の大小にかかわらず、再検査またはより詳しい検査(PSG)を検討することになります。結果票に「判定不能」「要再検査」といった記載がないか、まず確認しましょう。

AHI・REI・ODIは何が違うのか

結果票にはいくつかの指標が並びますが、それぞれ計算方法が異なるため、混同しないことが大切です。

は、本来は脳波などで測定した「実際に眠っていた時間」を分母として、無呼吸と低呼吸が1時間あたり何回起きたかを示す指標です。PSG検査で算出されます。

一方、自宅で行う簡易検査の多くは脳波を測定しないため、実際に眠っていた時間を正確には把握できません。そのため、記録していた時間全体(評価可能時間)を分母として計算したという指標が算出され、これが便宜的に「AHI」として結果票に表示されることがあります。REIは、なかなか寝つけなかった時間や目が覚めていた時間も分母に含むため、実際の重症度よりも低く出やすいという特徴があります。ある研究では、簡易検査の記録時間は実際の睡眠時間より平均で約19%長く、簡易検査で算出された指数はPSGで測定したAHIより平均で約23%低くなったと報告されています。つまり、結果票の数値が軽症寄りに出ていても、実際にはもう少し重症度が高い可能性がある、ということです。

は、呼吸イベントの回数ではなく、血中の酸素飽和度(SpO2)が一定以上低下した回数を1時間あたりで示す指標です。無呼吸・低呼吸の回数とは分母や判定基準が異なるため、AHI(REI)とODIの数値が一致しないことも珍しくありません。

このほか、無呼吸だけを数える「無呼吸指数(AI)」、低呼吸だけを数える「低呼吸指数(HI)」、呼吸努力関連の覚醒を含めた「RDI」などの指標が併記されることもあります。名称だけで判断せず、結果票に記載された定義や解析条件を確認することが望ましいとされています。

数値による重症度の目安

AHI・REIの一般的な重症度分類は、以下のとおりです。

AHI/REI(回/時)分類一般的な解釈
5未満正常範囲OSAを完全に否定する値ではない
5〜14.9軽症症状・併存疾患・職業リスクにより治療対象になり得る
15〜29.9中等症精密検査や積極的な治療の検討が多い
30以上重症早めの受診・治療検討が必要

重要なのは、この数値による分類(医学的重症度)と、実際に治療が必要かどうかの判断、そして日本の保険診療でCPAP治療の対象になるかどうかの基準は、それぞれ別のものだという点です。「AHIが◯以上だから必ずCPAPになる」というわけではなく、症状の強さ・低酸素の程度・高血圧などの併存疾患・職業上のリスク・検査の測定品質なども合わせて判断されます。

結果別に見る、次にすべきこと

AHI/REIが30以上だった場合

一般に重症の範囲です。日中の眠気を強く自覚していなくても、長期的な健康リスクや事故リスクの観点から、早めに医療機関へ相談することが勧められます。目安として数日〜数週間以内に、検査を実施した医療機関や睡眠外来へ相談するとよいでしょう。運転中に眠気を感じたことがある場合は、受診が完了するまで運転や危険を伴う作業を控えることも重要です。日本の保険診療では、無呼吸低呼吸指数が30以上で、日中の眠気などの自覚症状が強く生活に支障がある場合、PSGでの所見確認を省略してCPAP治療の対象となり得ますが、これは自動的に適用されるものではなく、医師の診断が必要です。

AHI/REIが15〜29.9だった場合

中等症の範囲です。症状が比較的軽くても、低酸素の程度や高血圧・心房細動などの併存疾患があれば、積極的な評価・治療を検討する対象になります。日本の保険診療でCPAP治療を検討する場合、この範囲では原則としてPSGによる所見確認が必要になることが多いため、医師と相談のうえPSG検査に進むかどうかを判断します。CPAP以外にも、口腔内装置・体位療法・鼻閉治療など複数の選択肢があります。軽症〜中等症(AHI15〜40)での治療の要否については、「軽症の睡眠時無呼吸」と言われたら治療すべきか|AHI15〜40の判断基準でさらに詳しく解説しています。

AHI/REIが5〜14.9だった場合

軽症の範囲ですが、「治療が不要」という意味ではありません。強い眠気や居眠りがある、職業運転や危険な作業に従事している、高血圧・心房細動などの持病がある、酸素の低下が深い・長い、といった条件に当てはまる場合は、軽症であっても治療や精密検査の対象として検討されます。一方、日中の症状がほとんどなく、重大な併存疾患もなく、測定品質も良好であれば、体重・症状の変化を見ながら経過観察するという判断も妥当とされています。

AHI/REIが5未満だった場合

数値上は正常範囲ですが、前述のとおり自宅の簡易検査は実際の重症度を過小評価しやすいという限界があります。強い眠気や居眠りが続いている、家族から明らかな呼吸停止を繰り返し指摘されている、検査当日は普段より鼻づまりや飲酒が少なかった、睡眠時間が短かった、なかなか寝つけず長時間覚醒していた、といった事情がある場合は、結果が正常であっても偽陰性の可能性を考え、PSG検査などの追加評価を検討する価値があります。

測定不良・判定不能だった場合

鼻のセンサーの外れ、酸素センサーの脱落、記録時間の不足などにより、正しく判定できない場合があります。この場合は数値の大小に関わらず、再検査またはPSG検査を検討することになります。一部のセンサーだけ良好なデータが取れていても、重要なセンサーが長時間欠測していれば、最終的な診断には使えないことがあります。

数値だけでは判断できないケース

以下のようなケースでは、AHI(REI)の数値だけを見て安心・心配するのではなく、他の指標や医師の判断と合わせて考える必要があります。

AHI(REI)は低いのに、酸素飽和度(SpO2)が低い場合
呼吸イベントの回数自体は少なくても、平均のSpO2が低い、90%未満の時間が長い、といった場合は、SAS以外の要因(肺の病気、心不全、肥満に伴う低換気など)が背景にある可能性があります。この場合は、数値の見た目上の軽さにかかわらず、呼吸器内科や循環器内科などでの評価が優先されます。一瞬だけ最低値が低く表示された場合は、センサーのずれや体の冷えなど測定上の影響であることも多いため、平均値・持続時間・波形と合わせて確認することが大切です。

仰向けのときだけ数値が高い場合
仰向け時のAHI(REI)が、それ以外の体位のときの2倍以上ある場合、体位によって悪化するタイプのSAS(体位依存性OSA)の可能性があります。ただし、仰向け・非仰向けそれぞれの測定時間が短いと、この判定自体の信頼性が下がるため、各体位の測定時間も確認したうえで、体位療法だけで十分か、他の治療も必要かを医師と相談することになります。

一晩だけの結果には変動があることも知っておく

睡眠時無呼吸の指標は、体位・飲酒・鼻の通りやすさ・その日の睡眠時間などによって、夜ごとに変動することが知られています。複数の夜にわたって検査した研究では、約4割で1時間あたり10回を超える変動がみられ、約半数で軽症・中等症・重症といった重症度区分をまたぐ結果になったという報告もあります。特に4〜6、14〜16、29〜31付近の境界域の数値は、一晩だけの結果で断定せず、症状や併存疾患も踏まえて総合的に判断することが望ましいとされています。

2026年の保険診療におけるCPAP開始基準について

2026年6月の診療報酬改定により、日本の保険診療でCPAP治療の対象となる基準は、原則として次の3つを満たすことが必要とされています。

  • 無呼吸低呼吸指数が15以上であること
  • 日中の強い眠気などの自覚症状があり、日常生活に支障が出ていること
  • PSG検査で、頻回の無呼吸に伴う睡眠の分断などが確認されること

ただし、無呼吸低呼吸指数が30以上の場合は、3つ目のPSG所見の要件を省略できる場合があります。この場合でも、2つ目の症状・生活支障の要件は残るため、「指数が30以上であれば自動的に全員が保険でCPAP治療を受けられる」というわけではありません。この基準は改定前の「AHI20以上・簡易検査で40以上」という基準から引き下げられたものですが、古い記事や資料には旧基準の記載が残っていることもあるため、最新の情報は受診先の医療機関に確認することをお勧めします。

緊急性の高い症状がある場合は、数値の説明を待たない

検査結果の数値がどうであれ、現在、強い呼吸困難・胸痛・失神や意識障害・唇や皮膚が明らかに青白いといった症状がある場合は、結果の説明を待たず、救急受診を検討してください。判断に迷う場合は、地域の救急相談窓口(#7119など)を利用する方法もあります。数値上は軽症であっても、現在の体調が優先されるべきという点は変わりません。

よくある質問

Q. 結果票に「AHI」と書いてありますが、本当にAHIなのかREIなのか分かりません。

A. 自宅で行う簡易検査の多くは脳波を測定しないため、厳密にはREI(記録時間を分母とした指標)であることが多いです。ご不明な場合は、検査を実施した医療機関に「この数値はAHIですか、REIですか」と確認することをお勧めします。

Q. 数値が軽症の範囲でしたが、症状がつらいです。治療は受けられませんか。

A. 軽症の範囲でも、強い眠気や併存疾患があれば治療の対象として検討されます。また、自宅検査は重症度を実際より低く見積もることがあるため、症状が強い場合はPSG検査などの追加評価を相談することもできます。

Q. 検査結果は自分で保存しておいた方がいいですか。

A. はい。今後、他の医療機関を受診する際や、時間が経ってから状態の変化を比較する際の参考になります。検査日・機器名・数値の定義が分かる形で保管しておくとよいでしょう。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、検査結果の数値だけで診断・治療方針・救急受診の要否を判断するものではありません。保険診療の基準は変更される可能性があるため、最新の情報や個々の結果の解釈については、検査を実施した医療機関にご確認ください。胸痛・強い呼吸困難・意識障害などがある場合は、数値にかかわらず緊急対応を優先してください。
監修者の写真
監修
廣瀬 有紀子(ひろせ ゆきこ)
耳鼻咽喉科専門医・アレルギー専門医・日本医師会認定産業医
信州大学医学部医学科卒業。東京慈恵医科大学付属病院 耳鼻咽喉科ほか都内医療機関に勤務。日本睡眠学会、日本アレルギー学会、日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会、日本口腔・咽頭科学会 所属。
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