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CPAP・睡眠時無呼吸症候群

朝起きると頭が痛い・重い|睡眠時無呼吸との関係と、他の原因との見分け方

朝起きると頭が痛い・重い|睡眠時無呼吸との関係と、他の原因との見分け方

ほぼ毎朝、頭が痛い・重いという方へ。起床時の頭痛は睡眠時無呼吸のサインになり得ますが、それだけで決まるものではありません。仕組み、他の原因との見分け方、受診の目安を整理します。

目が覚めた瞬間から頭が痛い、あるいは頭が重く、午前中のうちに少しずつ楽になる——こうした「朝の頭痛」がほぼ毎日続くと、日常生活の質がじわじわと下がります。

起床時の頭痛は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)でみられる症状の一つとして知られています。ただし、朝の頭痛は睡眠時無呼吸だけで起こるわけではなく、緊張型頭痛や片頭痛、鎮痛薬の使いすぎ、飲酒、カフェイン、まれに脳の病気など、原因はさまざまです。この記事では、睡眠時無呼吸で朝に頭が痛くなる仕組みと、他の原因との見分け方、受診を考える目安を整理します。

起床時の頭痛は「睡眠時無呼吸のサインの一つ」だが、それだけでは決まらない

国際頭痛分類(ICHD-3)は、「睡眠時無呼吸に伴う頭痛(sleep apnoea headache)」を独立した二次性頭痛として分類しています。一方で、起床時の頭痛は他の一次性・二次性頭痛や、不眠症・うつ病などでも起こる非特異的な症状であることも明記されています。

実際、一般人口を対象とした研究では、睡眠時無呼吸に該当する頭痛の割合は約11.8%、睡眠時無呼吸のない群でも似た朝の頭痛が約4.6%にみられました。朝の頭痛がある人が睡眠時無呼吸を持っている割合は、そうでない人の約2.9倍という報告があります。関連はあるものの、「毎朝頭痛がある=睡眠時無呼吸」と直結できるほど強い関係ではありません。

睡眠時無呼吸で朝に頭が痛くなる仕組み

睡眠時無呼吸では、眠っている間に上気道(のどの奥)がふさがって呼吸が止まる・浅くなることが繰り返されます。このとき体の中では、次のような変化が同時に起こっています。

① 夜間の低酸素と二酸化炭素の上昇
呼吸イベントのたびに血中の酸素が下がり、二酸化炭素がたまります。二酸化炭素には脳の血管を広げる作用があり、脳の血流や血管の変化が頭痛に関わるのではないかと考えられています。

② 睡眠の分断
無呼吸のたびに脳が短く目覚めるため、深い睡眠が減り、睡眠が細切れになります。「よく眠れていない」こと自体が、起床時の頭痛や熟睡感のなさと関連することが疫学研究から示されています。

③ 自律神経の活性化と夜間の血圧変動、頭蓋内圧の変化
無呼吸から呼吸が再開するときに交感神経が急に高まり、血圧が一時的に上がります。重症例を対象とした小規模研究では、無呼吸に対応して頭蓋内の圧が一過性に上がる現象も観察されています。

ただし、これらのどれが「睡眠時無呼吸に伴う頭痛」の直接の原因なのかは、まだ十分に解明されていません。ICHD-3自身も機序は不明としています。また、検査上の重症度(AHIや酸素の下がり方)が強いほど朝の頭痛が強い、という関係は確認されていません。起床時頭痛のある睡眠時無呼吸の患者とない患者で、最低酸素飽和度などに差がなかった研究が複数あります。

「睡眠時無呼吸に伴う頭痛」の特徴(国際頭痛分類より)

ICHD-3で説明されている典型像を一般向けにまとめると、次のようになります。

  • 起床時に存在する頭痛である
  • 両側性で、締め付ける・圧迫するような痛みのことが多い
  • 片頭痛のような強い吐き気や、光・音を極端にまぶしく・うるさく感じる症状を伴わないことが多い
  • 数時間以内に軽快することがある
  • 睡眠時無呼吸(AHIが1時間あたり5以上)がすでに検査で確認されており、治療によって頭痛が改善する・悪化する経過が無呼吸の経過と対応する

注意したいのは、「両側性」「4時間以内に軽快」「毎日ある」がすべてそろわなければ違う、という意味ではないことです。ICHD-3の基準では頭痛の特徴に複数の選択肢があり、「毎日起こること」も必須ではありません。逆に、この特徴に当てはまるからといって睡眠時無呼吸と決まるわけでもなく、診断には睡眠検査が必要です。

朝の頭痛で考えられる他の原因と見分け方

「起床時」という時間帯だけでは原因を絞り切れません。痛みの性質、吐き気や光・音への過敏の有無、飲酒・カフェイン・鎮痛薬の使い方、顎の症状、いびきや眠気などを合わせて考えます。

考えられる原因朝の頭痛として注目する点
緊張型頭痛両側性で締め付ける感じ。軽〜中等度で、吐き気は目立たない。睡眠時無呼吸に伴う頭痛と表現がかなり重なり、時間帯だけでは区別できない
片頭痛片側性・ズキンズキンする拍動性・中等〜重度で、体を動かすと悪化。吐き気や光・音過敏を伴う。朝から始まることもある
薬の使いすぎによる頭痛(薬物乱用頭痛)もともと頭痛があり、鎮痛薬を月10〜15日以上、3か月を超えて使っている。「頭痛が怖くて早めに薬を飲む」循環になっている
飲酒遅れて出るアルコール誘発頭痛は飲酒の5〜12時間後に起こり得るため、夜に飲んで朝に頭痛、という時間関係が成立しやすい。飲酒は睡眠時無呼吸も悪化させ得る
カフェイン離脱1日200mg超のカフェインを2週間以上とっている人で、摂取が遅れると24時間以内に頭痛。休日に朝のコーヒーが遅れると頭痛、など
著しい高血圧頭痛の直接原因になるのは、収縮期180mmHg以上または拡張期120mmHg以上といった発作的な高度上昇。「少し高いから毎朝頭痛」とは決めない。ただし高血圧は睡眠時無呼吸に併存しやすい
歯ぎしり・顎関節症こめかみ、耳の前、頬の筋肉の痛み。朝の顎のこわばり、歯のすり減り。睡眠時無呼吸と併存することもあり、二者択一ではない
不眠・気分の落ち込み入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、抑うつ気分などを伴う。大規模調査で朝の頭痛と強く関連しており、睡眠時無呼吸に特有ではない重要な鑑別

見逃してはいけないサイン(早めの受診を)

次のような特徴がある頭痛は、睡眠時無呼吸かどうかを考える前に、まず脳の病気などを除外する必要があります。当てはまる場合は早めに医療機関を受診してください。

  • 50歳以降になって新しく始まった頭痛
  • 最近急に始まった、または痛み方のパターンが変わった頭痛
  • 数日〜数週間でどんどん悪化している
  • 発熱、体重減少などの全身症状を伴う
  • がんの既往がある
  • 手足の麻痺・しびれ、ろれつが回らない、意識がぼんやりする
  • 咳・いきみ・体位の変化で強くなる、突然の激しい頭痛

なお「50歳以上の頭痛=危険」という意味ではありません。長年変わらない頭痛と、新しく始まった頭痛は扱いが異なります。

頭痛薬をほぼ毎日飲んでいる方へ

「ほぼ毎朝」頭痛がある方では、鎮痛薬の使いすぎによる頭痛が隠れていないかの確認が重要です。目安として、もともと頭痛がある人で月に15日以上頭痛があり、急性期の頭痛薬を3か月を超えて過量に使っている場合に考えます。過量の目安は薬によって異なり、市販の解熱鎮痛薬などでは月15日以上、トリプタンや配合鎮痛薬などでは月10日以上とされています。「何錠飲んだか」だけでなく「月に何日使っているか」を振り返ってみてください。

睡眠時無呼吸を疑う手がかり

朝の頭痛に加えて、次のような点が重なるほど、睡眠時無呼吸を考えて検査を検討する理由になります。単独では診断できません。

  • 大きないびきを指摘される/家族に呼吸が止まっている・あえいでいると言われた
  • 夜しっかり寝ているはずなのに日中の眠気が強い、熟睡感がない
  • 夜中に何度も目が覚める、息苦しさで目が覚める、夜間の排尿回数が多い
  • 肥満気味・首まわりが太い、高血圧がある(治療しても下がりにくい高血圧はとくに)

ただし、日中の眠気が目立たない睡眠時無呼吸もあります。「眠くないから大丈夫」とは言えません。また、肥満がなくても、顎が小さい・扁桃が大きい・鼻づまりがあるなどの理由で起こることがあります。

朝の頭痛にこうした症状が重なるほど、頭痛だけへの対処を続けるより、睡眠中の呼吸の状態を一度調べてみる意味があります。検査や受診の流れはいびき・日中の眠気 専門外来でご確認いただけます。

検査で分かること・何科を受診するか

睡眠時無呼吸は、問診だけでは診断も除外もできません。診断の基準となる検査はで、脳波などを含めて実際に眠っていた時間を測り、正確なを計算します。まず自宅でできる簡易検査を行い、結果と症状に応じてPSGへ進むのが一般的な流れです。簡易検査は眠っていた時間を正確に測れない機種が多く、重症度を低めに見積もることがあるため、簡易検査で問題なしと言われても、症状から疑いが強ければ改めて詳しい検査を検討します

受診先は症状によって整理すると分かりやすくなります。

  • いびき・目撃された無呼吸・強い眠気・肥満・高血圧が中心:睡眠時無呼吸の診療・睡眠検査を行っている医療機関、呼吸器内科
  • 鼻づまり・扁桃の腫れ・口呼吸など、上気道の問題が目立つ:耳鼻咽喉科
  • 頭痛が片頭痛らしい、毎日ある、診断がはっきりしない:脳神経内科、頭痛の診療を行う外来
  • 上に挙げた「見逃してはいけないサイン」がある:脳神経内科・脳神経外科、状況により救急
  • 朝の顎の痛み・こわばりが主体:歯科・口腔外科(いびきや無呼吸もあれば睡眠の評価も並行)

治療で朝の頭痛は良くなる?

睡眠時無呼吸に対してCPAP(持続陽圧呼吸療法)などの治療を行った後、起床時の頭痛を訴える割合が減ったという観察研究があります。ある前向き観察研究では、治療前に53.4%だった起床時頭痛が治療後は16.4%に低下し、頭痛の改善は日中の眠気の改善と関連していました。

ただし、これらは無作為化された比較試験ではなく観察研究が中心で、すべての人で頭痛がなくなるわけではありません。頭痛に別の原因(緊張型頭痛、薬の使いすぎ、片頭痛など)が併存していることもあります。「治療すれば必ず消える」「何割が治る」と断定できるデータではない、という前提で考えてください。

よくある誤解

よくある誤解実際は
毎朝頭痛があるなら睡眠時無呼吸だ起床時の頭痛は不眠・うつ・緊張型頭痛・飲酒・カフェイン・顎の問題でも起こる非特異的な症状。それだけで診断はできない
酸素が下がるほど頭痛が強くなるAHIや酸素の指標と朝の頭痛の強さに関連を認めない研究が複数ある。検査上の重症度と頭痛は必ずしも比例しない
CPAPをすれば頭痛は必ず消える治療後に改善した観察研究はあるが、改善しない人もいる。別の原因が併存していることもある
簡易検査が正常なら睡眠時無呼吸ではない簡易検査は重症度を低めに見積もることがある。症状から疑いが強ければ詳しい検査を検討する
朝に痛いのは脳腫瘍の典型症状「早朝に強い」だけでは特異度が低い。年齢・経過・神経症状などのサインを合わせて評価する

いびきや日中の眠気を伴う朝の頭痛が続く場合は、自己対処を続けるより、まず睡眠中の呼吸状態を検査で確認する方法があります。当院ではオンラインで症状をうかがったうえで、ご自宅でできる検査をご案内しています。対象となる症状や受診の流れはいびき・日中の眠気 専門外来のページで、受診の目安の確認は睡眠時無呼吸セルフチェックでご確認いただけます。

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当院はいびき・日中の眠気に関するオンライン初診相談を承っており、必要に応じてご自宅でできる睡眠検査(簡易検査・在宅PSG)をご案内しています。すでに他院や健診で検査を受けた方のご相談も可能です。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の診断・治療効果を保証するものではありません。頭痛の原因や治療方針は個々の状態によって異なります。急に始まった頭痛や神経症状を伴う頭痛は、早めに医療機関を受診してください。CPAPの保険適用の基準は診療報酬改定により変わることがあり、実際の適用は受診先でご確認ください。
監修者の写真
監修
廣瀬 有紀子(ひろせ ゆきこ)
耳鼻咽喉科専門医・アレルギー専門医・日本医師会認定産業医
信州大学医学部医学科卒業。東京慈恵医科大学付属病院 耳鼻咽喉科ほか都内医療機関に勤務。日本睡眠学会、日本アレルギー学会、日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会、日本口腔・咽頭科学会 所属。
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