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いびきがひどいときは何科を受診する?相談を考える目安

いびきがひどいときは何科を受診する?相談を考える目安

「いびきがひどいと言われたけれど、何科に行けばいいのか分からない」という方へ。いびきの相談先は一つではありません。症状の出方や体の背景に応じた選び方を整理します。

いびきや無呼吸が気になっていても、多くの人が「何科に行けばいいか分からない」という理由だけで受診を先延ばしにしています。実際、いびきや無呼吸が疑われる方を対象にした調査では、「どこに相談すればいいか分からない」と回答した人が一定数存在し、これが受診の壁になっていることが分かっています。しかし、いびきの相談先は決して一つに限定されるものではなく、症状の性質や持病の有無によって、複数の診療科が役割を分担しています。この記事では、どの診療科がどんな症例を得意としているのか、学会がどのような見解を示しているのか、そして受診をためらう心理にどう向き合えばよいのかを、具体的なデータとともに整理します。

いびきの相談先は一つではない

いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合、患者が最初にどの診療科に相談すべきかは、単一の専門科に限定されるものではありません。個人の身体的特徴、随伴する合併症、生活背景に応じて、選ぶべき相談先は変わってきます。現在、国内でSASの初期診療や継続管理に関わる診療科は多岐にわたり、それぞれが異なる強みを持って診療にあたっています。

診療科得意とするアプローチこんな人に向いている
呼吸器内科簡易検査・PSG検査の手配、CPAP治療の導入と長期調整日中の強い眠気、起床時の頭痛、夜間頻尿など全身症状が目立つ人
耳鼻咽喉科内視鏡による上気道の構造評価、扁桃肥大や鼻づまりの外科的治療判定鼻づまりが強くいびき・口呼吸が慢性化している人、子どものいびき
循環器内科血圧管理、心不全・不整脈の精査、中枢性無呼吸へのASV療法など高血圧・不整脈・心不全で通院中の人
睡眠専門外来多職種による精密PSG検査、複雑な睡眠障害の鑑別不眠や異常行動など、複数の睡眠の問題が混在している人
かかりつけ医(一般内科)初期の問診、簡易検査の実施、専門医療機関への紹介普段から高血圧・糖尿病で通院しており、まず相談したい人
歯科・口腔外科口腔内装置(マウスピース)の作製・調整軽症〜中等症と診断済みで、CPAPが合わなかった人
オンライン診療問診・検査手配・CPAP指導の一部を自宅で実施通院時間の確保が難しい人、近隣に専門医療機関がない人

実際の受診実態を見ると、診療レセプトの分析では、SAS患者の約76%が「内科」で診療を受けており、次いで「耳鼻咽喉科」が約17%を占めています。内科の内訳をさらに見ると、呼吸器内科は全患者数の約6〜7%にとどまっており、一般内科や循環器内科など、幅広いプライマリ・ケア領域が実際にはSASの主要な受け皿として機能していることが分かります。これは、呼吸器だけに絞り込まず、高血圧や糖尿病などの合併疾患を含めた包括的な視点で相談先を考えることが、臨床の実態に即しているということでもあります。

専門学会は何と言っているか

いびきや無呼吸が疑われた際の「最初にどこを訪れるべきか」という疑問には、日本呼吸器学会、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会、日本睡眠学会がそれぞれ学術的な見解を示しています。これらは対立するものではなく、患者の主訴と体の特徴に応じた連携関係を作るための道標です。

日本呼吸器学会が監修する『睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020』では、呼吸器内科がSAS診療の中心的な役割を担う診療科の一つとして位置づけられています。日中の耐えがたい眠気や睡眠中の反復する無呼吸、肥満などを伴う場合は、まず呼吸器内科への相談が推奨されており、睡眠中の低酸素血症を全身的に評価し、標準治療であるCPAPを遅滞なく開始・管理できる点が強みとされています。

一方、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、いびきや無呼吸の原因となる上気道閉塞を評価する主体が自科であることを強調しています。鼻づまりや咽頭の狭さといった物理的な発生源が疑われる場合、内視鏡による直接的な評価が重要になるためです。特に子どものSASでは、アデノイド増殖や扁桃肥大が主な原因であり、外科的な切除術で高い治療効果が得られることから、小児症例では耳鼻咽喉科への初期受診が強く推奨されています。

日本睡眠学会は、SASの診断や治療が不眠症やむずむず脚症候群など他の病態と交錯しやすい点を指摘しており、複雑な睡眠障害を横断的に診断・治療するためには、認定医療機関や睡眠専門医が在籍する外来を受診することが望ましいという立場をとっています。

これらの見解をまとめると、全身的な不調(肥満、強い眠気、生活習慣病)を伴う場合は呼吸器内科や内科系、鼻づまりや喉の狭さ、子どものいびきなど物理的な障害が疑われる場合は耳鼻咽喉科、そして症状が複雑に絡み合っている場合は専門外来での精密検査、という多角的な連携体制が確立されています。

症状別に考える、受診先の目安

自分の状況に近いものを参考に、最初の相談先を考えてみてください。

  • 呼吸器内科・睡眠外来へ進むべき人:日中の強い眠気や疲労感など全身の随伴症状が顕著で、体重過多の傾向があり、確実な内科治療(CPAPなど)を優先したい場合
  • 耳鼻咽喉科へ進むべき人:ひどい鼻づまりやアレルギー性鼻炎があり口呼吸でいびきをかいている場合、あるいは子どものいびきや苦しそうな寝相が気になる場合
  • 循環器内科へ進むべき人:すでに高血圧、心不全、不整脈などの持病で通院しており、夜間の頻尿や息苦しさを伴ういびきがある場合
  • かかりつけ医へ進むべき人:近隣に専門の呼吸器内科や睡眠外来がなく、どこに行けばよいか迷っている場合、または長年通っている信頼できる内科がある場合

なお、マウスピース(口腔内装置)を保険適用で作製したい場合は、先に医科での確定診断と紹介状(歯科依頼書)が必要になる、という二段階のプロセスがある点も知っておくとよいでしょう。歯科・口腔外科にいきなり相談しても、その場で装置の作製に進めるわけではありません。

「様子見」が診断を遅らせている

SASは適切な介入がないと、重症例における心血管系の死亡リスクが健康な人の約3倍に達するとされる、予後に大きく関わる病気です。それにもかかわらず、多くの人が受診先の分からなさや忙しさを理由に、診断を先延ばしにしている実態が意識調査から見えてきます。

ある調査では、パートナーや周囲から「睡眠中に息が止まっている」と明確に指摘された場合でも、「すぐに専門の医療機関を受診する」と回答した人はわずか25.3%にとどまりました。半数を超える52.7%は「しばらく様子を見て、症状が続くようなら受診を検討する」と回答しており、17.7%は「枕を変える、ダイエットをするなど自力で改善を試みる」という、根拠の乏しいセルフケアにとどまる傾向も示されています。「どこに相談すればいいか分からない」という回答も一定数存在し、この「軽視」と「迷い」が診断の遅れに直接つながっています。

プロドライバーを対象にした調査でも、同様の傾向がより深刻な形で裏付けられています。簡易検査でSASの疑いが極めて高いと判定されたにもかかわらず、医療機関を受診していないと回答した層では、58.5%が「自覚症状がない」と回答し、60.1%が「自分自身が対象になるとは思ってもみなかった」と感じていました。睡眠中の無呼吸という病態の特殊性ゆえに、本人が病識を持ちにくいことが、受診回避の大きな要因になっています。このほか、「仕事が忙しい」ことを理由に挙げた人も3割程度おり、企業側の調査でも「本人のスケジュールと医療機関の時間が合わない」ことが精密検査を受けさせられない最大の障害として挙げられています。検査費用への懸念や、近隣に専門の医療機関がないという地域格差も、先延ばしに拍車をかけている要因です。

一方で、配偶者のいびきや無呼吸に気づいていながら、デリケートな話題であるがゆえに本人へ指摘することを躊躇している配偶者が、約半数に上ることも分かっています。しかし、指摘を受けた本人の約8割は「指摘されて良かった」と好意的に受け止めているというデータもあります。家族間の遠慮が受診をさらに先延ばしにする一方で、勇気を持った声かけが、診断の遅れを防ぐ最も重要なきっかけになり得るということです。

オンライン診療で完結できること、できないこと

通院の負担や心理的なハードルから、初診から自宅で相談できるオンライン診療への期待が高まっています。ただし、いびき・SASの診療におけるオンライン診療には、安全上の理由から明確な制約があることを知っておく必要があります。

厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」では、初診は原則として対面による診療が基本ルールとされています。画面越しでは、SASの診断に不可欠な鼻腔・咽頭・口腔内の物理的な構造観察を十分に行うことができないためです。また、SAS患者が訴えやすい不眠に対して、オンライン初診で睡眠薬を処方することは全面的に禁止されています。無呼吸のある人への不用意な睡眠薬の投与は、呼吸抑制を悪化させる危険な行為につながるためです。

CPAP治療についても、情報通信機器を用いた在宅指導管理料が制度上新設されていますが、これを適用するためには、CPAP開始によって症状が改善していることを対面診療で確認していることが最低限の算定基準になっています。つまり、初診から一度も対面での診察を受けずに、オンラインだけで診断・治療開始・月次管理のすべてを完結させることは、現行の制度上できません。初診時に自宅での簡易検査の手配をオンラインで受けることは可能ですが、確定診断後の治療開始や効果測定の段階では、対面での受診が必要になる、という点は正しく理解しておく必要があります。

当院でできること

当院は睡眠・アレルギーを専門とするオンライン診療クリニックです。「いびきがひどいと言われたが、何科に行けばいいか分からない」という段階の方も、まずはご相談ください。症状や生活背景をうかがったうえで、自宅での簡易検査の手配や、対面での受診が必要になるタイミングについて、医師が具体的にご案内します。すでにCPAP治療を受けている方の転院・継続管理についてもご相談いただけますが、まだ検査を受けたことがない方は、いびき・日中の眠気のオンライン初診相談からお気軽にご相談ください。

どこに相談すればいいか迷ったら

「いびきの相談先が分からない」という段階でも、当院までお気軽にご相談ください。症状や持病の状況を確認したうえで、検査の進め方や、対面診療が必要になるポイントをご説明します。

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よくある質問

Q. 内科と耳鼻咽喉科、どちらに行けばいいか迷っています。まず何を基準に決めればいいですか?

A. 日中の強い眠気や肥満など全身的な症状が中心であれば呼吸器内科・内科系、鼻づまりや口呼吸など物理的な狭さが気になる場合は耳鼻咽喉科が目安になります。迷う場合は、かかりつけの内科に相談し、そこから紹介を受ける形でも問題ありません。

Q. マウスピース治療を希望していますが、最初から歯科に行ってもいいですか?

A. 保険適用でマウスピースを作製するには、事前に医科での確定診断と紹介状が必要です。まずは呼吸器内科や耳鼻咽喉科などで検査を受けることをお勧めします。

Q. オンライン診療だけで検査から治療まで完結できますか?

A. 初診の一部や検査の手配はオンラインで対応できる場合がありますが、確定診断後の治療開始や効果確認は制度上、対面診療が必要です。詳細は医療機関にご確認ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の医療機関での対応内容を保証するものではありません。受診先の選択に迷う場合は、まずかかりつけ医や専門医療機関にご相談ください。

参考・出典

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監修
廣瀬 有紀子(ひろせ ゆきこ)
耳鼻咽喉科専門医・アレルギー専門医・日本医師会認定産業医
信州大学医学部医学科卒業。東京慈恵医科大学付属病院 耳鼻咽喉科ほか都内医療機関に勤務。日本睡眠学会、日本アレルギー学会、日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会、日本口腔・咽頭科学会 所属。
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