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CPAP・睡眠時無呼吸症候群

女性の睡眠時無呼吸症候群|見逃されやすい理由と受診のポイント

女性の睡眠時無呼吸症候群|見逃されやすい理由と受診のポイント

「女性はSASにはなりにくいと聞いた」「いびきがひどくないからSASではないと思う」——しかし女性のSASは見過ごされやすい状況にあります。女性特有の症状と受診のポイントをまとめます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は「太った中年男性がなる病気」というイメージが広がっています。しかし実際には、女性でも発症し、閉経後には有病率が男性に近づいてきます。問題は、女性のSASは診断が遅れやすく、その間に健康へのダメージが積み重なりやすいことです。

女性のSASの有病率

日本のデータによると、SAS(AHI 5以上)の有病率は男性で約26〜30%、女性で約9〜14%とされています(成人)。ただし閉経後女性では有病率が上昇し、男性との差が縮まることが研究で示されています。閉経後は男性のほぼ半分程度まで増加するという報告もあります。

「女性はなりにくい」は過去の話になりつつあり、「自分は女性だからSASではない」という思い込みは診断の機会を逃す原因になります。

女性のSASが見逃されやすい3つの理由

理由1:典型的な症状(大きないびき・呼吸停止)が出にくい

男性のSASでよく見られる「豪快ないびき」や「呼吸がガクッと止まる」という症状は、女性では比較的少ないです。女性のSASでは無呼吸よりも「低呼吸(呼吸が浅くなる)」が多い傾向があり、パートナーや家族が気づきにくいことがあります。「いびきがひどくないからSASではない」と判断することは間違いです。

理由2:症状が別の病気と混同されやすい

女性のSASの主な症状は、男性に多い「日中の強い眠気」ではなく、以下のような形で現れることがあります。

  • 慢性的な疲労感・倦怠感
  • 気力の低下・意欲の減退
  • 情緒不安定・イライラ
  • 不眠(眠れない・途中で目が覚める)
  • 頭痛・集中力の低下
  • うつ症状

これらは更年期障害・うつ病・甲状腺機能低下症・貧血などと症状が重なるため、他の疾患として先に診断・治療されてしまうことがあります。「更年期だと思っていたらSASだった」というケースは珍しくありません。

理由3:本人・医療者の「女性はSASにならない」という思い込み

患者さん自身が「私は太っていないからSASは関係ない」と思って受診しないことも、女性の診断が遅れる原因です。また、医療者側も検査をオーダーする際に女性であることがバイアスになることが研究で指摘されています。

女性でSASになりやすいリスク因子

体型・骨格以外にも、女性特有のリスク因子があります。

更年期・閉経:女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)には気道の筋肉トーヌスを保つ効果があります。閉経後にこれらのホルモンが低下すると、睡眠中の気道が虚脱しやすくなり、SASのリスクが上がります。ホルモン補充療法(HRT)を行っている閉経後女性ではSASの発症リスクが下がるというデータもあります。

妊娠:妊娠中は体重増加・横隔膜の挙上・上気道の浮腫によってSASが生じやすくなります。特に妊娠高血圧症候群を合併している妊婦でSASの有病率が高いことが知られており、妊娠中のSASは胎児の低酸素や早産リスクとの関連も指摘されています。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):PCOSを持つ女性では、インスリン抵抗性や体重増加を介してSASの有病率が一般女性より高いことが知られています。

甲状腺機能低下症:気道周囲の組織の浮腫・筋力低下を引き起こし、SASのリスクになります。女性に多い疾患であり、両者を合併するケースがあります。

女性がSASを疑うべき症状チェック

以下に3つ以上当てはまる方は、一度睡眠専門外来またはSAS外来に相談することをお勧めします。

  • 朝起きても疲れが取れない・ぐったりしている
  • 日中、特に食後や会議中に強い眠気がある
  • 夜中に何度も目が覚める(不眠感がある)
  • いびきをかくと言われたことがある(大きくなくても)
  • 更年期症状と思っていた症状(倦怠感・集中力低下・気分の落ち込み)が続いている
  • 閉経後から上記の症状が出始めた、または悪化した
  • 体重が増えた(特に閉経前後)
  • 夜間頻尿がある

検査は自宅でできる

「病院に行くのが面倒」「SASかどうかわからないのに受診するのは抵抗がある」という方も多いですが、最初の睡眠検査は自宅でできる簡易型の機器を一晩貸し出しするだけです。入院は不要で、普段通りに就寝して翌朝機器を返すだけで結果が出ます。

治療はCPAP以外の選択肢もある

SASと診断されても、重症度や原因によっては以下のような治療法が選択肢になります。

  • CPAP療法:重症・中等症に有効
  • マウスピース(口腔内装置):軽症〜中等症、CPAPが合わない方
  • 体位変換療法:仰向けでのみ悪化する体位依存型SASに有効
  • 体重管理・生活習慣改善:肥満が原因の場合
  • 鼻・耳鼻科的治療:鼻閉が原因の場合

「CPAPを使わなければいけない」とは限りません。検査結果を見てから、医師と一緒に自分に合った治療法を選ぶことができます。

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当院では女性のSAS・睡眠の問題にも対応しています。「更年期なのかSASなのかわからない」「一度検査だけしてみたい」という方も、まずはご相談ください。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の診断・治療効果を保証するものではありません。個々の症状や治療方針については、担当医にご相談ください。
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監修
廣瀬 有紀子(ひろせ ゆきこ)
耳鼻咽喉科専門医・アレルギー専門医
信州大学医学部医学科卒業。東京慈恵医科大学付属病院 耳鼻咽喉科ほか都内医療機関に勤務。日本睡眠学会、日本アレルギー学会、日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会、日本口腔・咽頭科学会 所属。
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