睡眠時無呼吸の検査キットはどこで手に入る?市販・自費検査・病院の自宅検査の違い

睡眠時無呼吸の検査キットが「どこで手に入るのか」を知りたい方へ。市販の測定機器、直接申し込める自費検査、医療機関が手配する自宅検査の違いと、申し込み前に確認したい点を整理します。
「睡眠時無呼吸の検査キット」という言葉は、実際には性質の異なるものをまとめて指しています。個人が購入する測定機器、直接申し込める自費の検査サービス、医療機関が診察のうえで手配する検査の3つです。違いを知らずに選ぶと、「測ったのに何も分からなかった」「結果を持って受診したら別の検査を勧められた」ということが起こり得ます。
睡眠時無呼吸の検査キットはどこで手に入る?
入手の経路は、大きく次の3つに分かれます。
- 自分で買う:パルスオキシメーターやスマートウォッチなどの市販機器です。健康管理や兆候の把握が目的で、これだけで睡眠時無呼吸の診断はできません。
- 直接申し込む:Webなどから申し込める自費の郵送・レンタル型の検査です。測る項目や医師の関わり方は、サービスによって異なります。
- 医療機関で手配してもらう:診察で医師が必要と判断した場合に、医療機関が検査機器を手配します。結果の評価から追加検査・治療の相談まで、ひと続きの診療になります。
医療機関の自宅検査では、検査機器は患者さんが購入するものではなく、検査のために医療機関が用意して貸し出し、使用後に返却するのが一般的です。当院も検査キットの単品販売は行っておらず、医師が診察のうえで必要と判断した場合に、自宅用の検査機器を手配しています。
医療機関で自宅検査を受けたい方へ:当院のオンライン初診・検査の流れと費用を見る
すでに検査機器が手元に届いている方は「自宅の睡眠検査キットが届いたら?」で、装着から返却までを確認できます。
検査キットを入手・利用する3つの方法
市販のパルスオキシメーターやスマートウォッチを使う
ドラッグストア、家電量販店、通販などで購入できます。パルスオキシメーターは指先で血中酸素飽和度(SpO2)と脈拍を測る機器で、睡眠中に夜通し記録して、翌朝に確認できる機種もあれば、その場の値しか表示しない機種もあります。スマートウォッチは、機種によって睡眠中の体の動き・心拍・SpO2などを記録し、睡眠の状態や呼吸の乱れを推定します。
ここで押さえておきたいのは、測っているものが睡眠時無呼吸の診断に使う指標とは違うという点です。酸素飽和度が繰り返し下がっていれば睡眠中の呼吸の異常を疑うきっかけになりますが、酸素飽和度だけでは、呼吸が止まった回数、鼻や口の気流、呼吸の努力、睡眠と覚醒の区別までは分かりません。酸素飽和度の低下の回数を示すと、睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数を示すやも、別の指標です。
また、指先の冷え、センサーのずれ、マニキュアなどで値が不安定になることがあり、値が正常に見えても睡眠時無呼吸が否定されるわけではありません。機器の位置づけ(医療機器として扱われるものかどうか)も製品によって異なるため、購入するときは商品の説明で確認してください。Apple Watchの通知については「Apple Watchで『睡眠時無呼吸の可能性』と通知されたら」で解説しています。
郵送型の自費スクリーニング検査に申し込む
医療機関を受診せずに、個人がWebや電話で直接申し込める検査サービスがあります。申し込むと検査機器が自宅に届き、一晩(または数晩)測定して返送すると、結果のレポートが届く流れです。
料金は5,000〜9,000円程度のサービスがあります。たとえば、SAS対策支援センターは5,240円(税・発送料込み)、OCHISは個人向けが8,800円(税込)と案内されています。いずれも指先のパルスオキシメーターで酸素飽和度と脈拍を測り、専門医が結果を判定するとされています(2026年11月6日時点の各公式サイトの記載です)。
ただし、表示の金額のほかに費用がかかる場合があります。SAS対策支援センターは、個人の場合は代金引換での受け取りとなり、機器の送料と代引き手数料が追加で発生すると案内されています。返送費用は、どちらのサービスも申込者の負担です。判定に必要なデータが取れず再検査になった場合にも、料金がかかるサービスがあります。申し込む前に、総額をご確認ください。これらは仕組みを知っていただくための例であり、特定のサービスをすすめるものでも、優劣を示すものでもありません。
サービスによって、測る項目(酸素飽和度のみか、気流や呼吸の動きまで測るか)、医師の判定の有無、結果説明の有無、料金に含まれる内容が違います。「自費だから精度が低い」ということではありませんが、多くはスクリーニング(受診の目安を知ること)が目的です。レポートが届くことと、診断や治療が始まることは別で、「要受診」とされた場合は医療機関で改めて評価を受けることになります。
医療機関で診察を受け、自宅検査を手配してもらう
医師が症状や持病を確認し、検査が必要と判断した場合に、自宅で行う簡易検査が手配されます。機器は医療機関が用意して自宅に届け、一晩(あるいは複数晩)測定したのち返却します。受診は対面のこともオンラインのこともあります。
機器の種類にもよりますが、鼻の気流、呼吸の動き、酸素飽和度などを複数同時に記録するものが一般的で、結果は医師が症状や持病とあわせて評価します。簡易検査で判断がつかない場合などには、脳波まで測る精密検査()を自宅で行う方法もあります。簡易検査とPSGの違いは「自宅でできる精密検査(在宅PSG)とは」で詳しく説明しています。
市販機器・自費検査・医療機関の検査は何が違う?
3つの経路の違いを、検査の「精度」ではなく、何を測り、誰が評価し、結果を何に使うのかで整理します。
| 市販の測定機器 | 自費のスクリーニング検査 | 医療機関の自宅検査 | |
|---|---|---|---|
| 入手・申込方法 | 店頭・通販で購入する(所有する) | Webや電話で直接申し込む。機器は貸与で届き、使用後に返送する | 診察(オンライン可)で医師が必要と判断した場合に、医療機関が機器を手配する。使用後に返却する |
| 主な測定項目 | 指先の酸素飽和度(SpO2)と脈拍が中心。スマートウォッチは機種により体の動きや心拍など | サービスによる。SpO2と脈拍のみの例のほか、気流や呼吸の動きまで測る例がある | 機器により、鼻の気流・呼吸の動き・SpO2などを複数同時に記録。必要に応じて在宅PSGを追加 |
| 医師の関与 | なし | サービスによる。専門医が結果を判定する例もあるが、診察は含まないことが多い | 診察で検査の要否を判断し、結果も医師が症状や持病とあわせて評価・説明する |
| 目的と診断との関係 | 健康管理・兆候の把握。単独では診断できない | スクリーニング(受診の目安)が中心。診断と治療は医療機関で行う | 診断と治療方針の決定を目的とした診療の一部 |
| 費用の仕組み | 機器の購入費。検査ごとの費用はかからない | 検査料(送料・返送料の扱いはサービスにより異なる)。全額自己負担 | 診察料・検査料・判断料など。保険診療の場合は自己負担割合に応じる |
| 異常が見つかった後 | 自分で医療機関を探して受診する | 「要受診」と案内されたら医療機関を受診する。結果の扱いは受診先による | 同じ医療機関で、追加検査や治療の相談に進める |
市販の測定機器
自分で購入し、健康管理や異常の兆候を把握するために使います。単独で診断はできません。
費用の仕組み:機器の購入費
自費のスクリーニング検査
Webなどから直接申し込みます。結果は、医療機関を受診する目安として使えます。
費用の仕組み:検査料は全額自己負担。送料などは要確認
医療機関の自宅検査
医師の診察後、必要な検査を自宅で行います。結果の評価から追加検査・治療まで相談できます。
費用の仕組み:保険診療の場合は自己負担割合に応じる
※測定項目・医師の関与・異常が見つかった後の対応など、項目別の詳しい比較表は、パソコンなど画面の広い端末で表示されます。
自費のサービスと医療機関の検査は、使う機器が近い場合もあります。違いは、機器そのものよりも、診察で検査の必要性を判断するか、結果を医師が症状や持病とあわせて評価するか、その先の追加検査や治療につながるかにあります。
自宅での睡眠検査を医師に相談したい方へ
当院では、オンライン初診で医師が必要と判断した場合に、自宅で受ける睡眠検査を手配しています。自宅での睡眠検査について詳しく見る
自費検査と保険診療の検査はどう違う?
自費か保険かという支払いの違いだけで、検査の精度が決まるわけではありません。自費のサービスでも医療用のパルスオキシメーターを使う例があり、保険診療の検査にも機器の種類があります。結果の信頼性を左右するのは、どの項目を測る機器か、きちんと装着して記録できたか、どう解析するか、そして症状や持病を踏まえて医師が評価するかです。
保険診療で検査を受けられるのは、医師が診察で検査を医学的に必要と判断し、診療報酬上の要件を満たす場合です。「医療機関から検査機器が届いたから保険が使える」というものではなく、保険適用は、診察による医師の判断と算定要件にもとづいて決まります。症状が乏しいなどの理由で検査の適応に至らない場合は、自費での検査を検討することもあります。
自費検査を直接申し込む方法もありますが、医療機関では、医師の診察と結果の説明まで含めて受けられ、医師が必要と判断し要件を満たす場合は保険診療で検査できます。どちらが優れているということではなく、目的に合わせて選ぶものです。
検査方法ごとの点数と自己負担の目安は「睡眠時無呼吸の検査費用はいくら?」に整理しています。診療報酬は改定されるため、最新の内容は厚生労働省の診療報酬改定のページもあわせてご確認ください。
検査キットを申し込む前に確認したいポイント
どの経路を選ぶ場合も、申し込む前に次の点を確認しておくと、後悔が少なくなります。
- 何を測定する機器か:酸素飽和度と脈拍だけか、気流や呼吸の動きまで測るか
- 医師の診察や判定が含まれるか:結果を誰が評価し、説明を受けられるか
- 総額に何が含まれるか:検査料のほか、往復の送料、結果の説明、再検査の扱い
- 異常が出た場合の受診先:同じ施設で相談を続けられるか、結果を持って別の医療機関を受診することになるか
- 陰性や正常でも症状が強い場合の対応:簡易的な検査では見逃しや過小評価が起こり得るため、相談できる窓口があるか
- 機器は購入か貸与か:貸与の場合は、返却期限、延滞や破損時の扱い
申し込んでから結果が出るまでの日数の目安は「自宅でできる無呼吸検査の流れ」にまとめています。
自費検査や市販機器で異常が出たら?
市販の機器や自費の検査で気になる結果が出たときは、医療機関での評価を検討してください。ここでいう「異常」は、酸素飽和度が下がった回数なのか、気流を含めた指数なのかなど、検査によって意味が異なります。
医療機関では、持参された結果を診察の参考にしたうえで、追加の検査が必要かどうかを医師が判断します。必ず同じ検査をやり直すわけではなく、逆に、どの検査結果でもそのまま治療の開始に使えるわけでもありません。検査の種類、記録された項目、解析の内容、そして症状によって、必要な対応が変わるためです。CPAP治療を保険で受けられるかどうかも、検査の数値だけで自動的に決まるわけではなく、診察での評価や診療報酬上の要件をふまえて医師が判断します。
受診の際は、次のものを用意しておくとスムーズです。
- 検査結果のレポート(紙・PDFなど)
- 検査を受けたサービスや機器の名前、測定した日
- 現在の症状(いびき、日中の眠気、家族に呼吸の停止を指摘されたことなど)
- 服用中の薬、持病
すでに他院・健診・自費サービスなどの検査結果をお持ちの方は、検査を受けていない方とは当院での初診の受け方が異なります。現在は、新宿院での対面初診で結果を確認する案内となっています。詳しくは「すでに検査結果をお持ちの方へ」をご覧ください。
当院ではオンライン初診後、必要に応じて自宅検査を手配します
検査をまだ受けていない方には、「いびき・日中の眠気 専門外来」で、次の流れで診療しています。診察のために、患者さんが市販の検査機器を購入する必要はありません。
- オンライン初診:症状、持病、生活習慣を医師が確認します
- 検査の必要性の判断:検査が必要かどうかを医師が判断します
- 自宅での簡易睡眠検査:必要と判断した場合に、検査機器をご自宅へお送りします
- 結果の説明:別日のオンライン診察で、医師が結果をご説明します
- 必要に応じた追加検査・治療の検討:結果によって在宅PSGを追加したり、治療方針を相談したりします
ただし、オンライン初診を予約すれば必ず検査を受けられるわけではありません。診察の結果、検査が不要な場合や、別の検査が適している場合もあります。CPAP治療を始める場合は、導入時と約1か月後の計2回、新宿院での対面診療が必要なため、すべてをオンラインで完結できるわけではありません。重症が疑われる場合や持病の精査が必要な場合など、入院での精密検査が適している場合は、連携する医療機関をご紹介します。
当院の費用の目安(保険診療・3割負担)
- 初診+自宅簡易検査:3,970円(キット往復送料を含む)
- 結果説明(別日のオンライン再診):730円
- 合計の目安:約4,700円
診察料・システム利用料(500円/回)を含む金額で、医師が必要と判断し、保険適用の要件を満たした場合の目安です(2026年11月6日時点のLPの記載)。検査の結果によっては、在宅PSGなどの追加検査が必要になることがあります。自費のスクリーニング検査とは、診察や結果説明の有無など内容が異なるため、金額だけで単純に比較できるものではありません。最新の料金は専門外来の料金案内をご確認ください。
診察の流れや予約方法は、睡眠時無呼吸のオンライン初診・自宅検査について詳しく見るからご確認ください。
よくある質問
Q. 検査キットはドラッグストアや通販で買えますか?
A. パルスオキシメーターやスマートウォッチは店頭や通販で購入できます。一方、医療機関で使う簡易検査の機器は、医療機関に向けて提供されるものが中心で、一般の店頭で売られているものは多くありません。自費のサービスに申し込むか、医療機関で手配してもらう方法が一般的です。
Q. 市販のパルスオキシメーターだけで睡眠時無呼吸を診断できますか?
A. できません。酸素飽和度の低下は睡眠中の呼吸の異常を疑うきっかけにはなりますが、無呼吸・低呼吸の回数や、気流・呼吸の努力などは分かりません。診断には、医療機関での検査と医師の評価が必要です。
Q. 自費の郵送検査と保険の自宅検査は何が違いますか?
A. 主な違いは、診察があるか、結果を誰が評価するか、その先の追加検査や治療につながるかです。自費だから精度が低い、保険だから精度が高いという関係ではなく、測る項目と目的が異なります。
Q. 自費検査の結果を病院で使うことはできますか?
A. 結果を持参して相談することはできます。ただし、診察の参考にするだけか、追加の検査が必要かは、検査の内容や症状によって異なり、医療機関ごとの判断になります。
Q. 自費検査で異常があれば、必ず再検査になりますか?
A. 必ずとは限りません。測定した項目と解析の内容、症状によって、追加検査が必要かどうかが変わります。医師が結果と症状をあわせて判断します。
Q. オンライン診療を予約すると必ず検査を受けられますか?
A. いいえ。診察で医師が必要性を判断します。検査が必要と判断された場合に、自宅で受ける検査を手配します。
Q. 検査キットで異常が出なかった場合は安心ですか?
A. 一概には言えません。自宅の簡易検査は、睡眠時無呼吸を過小評価する場合があります。いびきや日中の強い眠気などの症状が続く場合は、結果が正常でも医療機関に相談してください。医師の判断により、精密検査(PSG)が必要になることがあります。米国睡眠医学会(AASM)のガイドラインでも、自宅での検査が陰性・判定不能・技術的に不十分な場合は、PSGでの評価が推奨されています。
参考・出典
- Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea. AASM. J Clin Sleep Med. 2017.
- 厚生労働省『令和8年度診療報酬改定について』
- 日本循環器学会『2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』
- SAS対策支援センター『睡眠時無呼吸症候群(SAS)の個人検査のお申し込み』(2026年11月6日確認)
- NPO法人ヘルスケアネットワーク(OCHIS)『SAS検査概要』(2026年11月6日確認)

